悲恋伝説

加賀

保名が淵(石川県小松市)

やすながふち保名という美しい少女がいたが、片目が不自由であった薬売り(商人)の男と懇ろになったが、薬売りは保名を棄てて余所へ向かった追いかけた保名は、水面に映える男の影を見間違えて川に飛び込んで溺死した(悲恋伝説)保名の死後、淵に片目の大蛇...
備後

ささやき橋(広島県福山市)

ささやきばし百済からの賓客をもてなすために派遣された男女(廷臣・女官)が恋仲となって密会していた密会がばれた二人は互いが抱き合えないよう縛られて海に沈められた(悲恋伝説)その後、逢瀬の現場であった橋のたもとで男女のささやきあう声が聞こえた(...
備後

地蔵鼻(広島県尾道市)

じぞうはな別名・美可地蔵美可崎の砦を守る金山氏(戦国武将)が船を襲い、琴(楽器)の上手い娘を捕らえた金山氏は娘に言い寄ったが拒絶されたため、浜(浜海岸)で斬り殺した(子女受難)毎夜浜で女の泣き声と琴の音が聞こえるため(音の怪)、海岸にあった...
備後

若菜峠(広島県世羅町)

わかなとうげ尾道のある商家(商人)の娘が、店の手代と恋仲となったため、親が手代を故郷の田打に帰した娘は毎夜家を抜け出して田打にある峠まで行くと、そこにある3つの池に入って大蛇に化身して夜を明かした(変身譚)後を追って蛇体を目撃した父親は、元...
安芸

乙女椿(広島県呉市)

おとめつばき長者の娘と貧しい漁夫が恋仲となったが、その身分違いに嘆き2人で海に身を投げた(悲恋伝説)男の遺体は能美島へ、娘の遺体は呉浦へ流れ着き、やがて両方の場所から椿の木が生えた能美島の椿はしばらくして枯れたが、呉浦の椿は大木となり“乙女...
備北芸北

お仙ヶ淵(広島県北広島町)

おせんがふち女中のお仙は主の若旦那の子を産んだが、夫婦になれないため子と共に淵に入水して大蛇になった(悲恋伝説:変身譚)この淵は下流の澄合にある観音淵と繋がっていて、月に一度訪れると観音淵の水が赤く濁る(血の怪)『日本の伝説21 広島の伝説...
備北芸北

臼杵神社(広島県北広島町)

うすきじんじゃ?庄屋の娘は色黒であったため(醜女)、炭焼きの男(杣人)に求婚したが拒絶された娘は嘆いて、木を割る時に使う“当て木”に寄りかかったところ、誤って男の斧で首を切られた(悲恋伝説)その時娘の霊魂が“当て木”(杣道具)に乗り移り、そ...
広島廿日市

内侍岩(広島県廿日市市)

ないしいわ徳大寺実定大納言(公家)が厳島を訪ねた時に、巫女の有子内侍と相思相愛となったやがて大納言が京へ帰る際、有子内侍は船を追って岩(巨石)に登って和歌を詠み、別れを惜しんだその後、内侍は大納言を追って都へ行くが、身分違いをはかなんで入水...
東三河

鸚鵡石(愛知県田原市)

おうむせき郡司の渥美太夫国重(地方豪族)は狩りの途中で美しい娘を見つけて妻とし、玉栄という子を授かった賊が屋敷に押し入った時、妻は大蛇の正体を見せてしまい、それを恥じて玉栄に笛を形見として残して去った(異類婚姻譚)玉栄には許嫁があったが、こ...
西三河

浄瑠璃淵(愛知県岡崎市)

じょうるりぶち源義経との恋に破れた浄瑠璃姫が身投げをしたとされる淵(悲恋伝説)入水の地である“足跡岩”、姫の供養に両親が建てた“穴観音”も川の改修工事で消えている『日本の伝説7 愛知の伝説』(角川書店)p.161愛知県岡崎市 吹矢町