血の怪

奈良宇陀

大安寺西塔跡(奈良県奈良市)

だいあんじさいとうあと大安寺の東西両塔は黄金造りで、夜でも難波の海を照らしたため、怒った漁夫によって焼き討ちとなった西塔の礎石は長らく残されていたが、ある石工が割って掘り出そうとした間もなく割れる時に突然石から血が噴き出し(血の怪)、石工は...
川越飯能

滝の城址 血の出る松跡(埼玉県所沢市)

たきのじょうし ちのでるまつあと滝の城は八王子城と共に落城した際に多くの城兵が死に、松の木の根元に埋められた(落城伝説)戦死者の血を吸ったため、松の木を伐ろうとすると血が出るとされた(血の怪)松の木は昭和47年(1972年)に枯死伐採され、...
さいたま川口

勝願寺 仁王像(埼玉県鴻巣市登戸)

しょうがんじ におうぞうかつて運慶作の仁王像があったが、その悪鬼のような容貌から人々から怖れられていたたびたび近辺の子供が行方不明となり、ある夜総出で探していると、山門の仁王が口から血を流していた(子女受難:血の怪)子供を食ったものと判断し...
さいたま川口

普門院 月江禅師木像(埼玉県さいたま市大宮区)

ふもんいん げっこうぜんじもくぞうある者が路上で賊に襲われ斬られようとした時、突然大男が現れて代わりに斬られ、普門院辺りで消えた翌日訪ねると、開山の月江禅師(名僧)の像(貴人像)に刀傷(傷痕)が残っていた(動く絵や像:身代わりの神仏)禅師の...
出雲

清光院(島根県松江市)

せいこういん松風という芸者(芸者幇間)は、ある若侍に懸想されたが(横恋慕)、相手にせず避けていたある夜偶然出くわしたため逃げたが、清光院の石段で斬られ、位牌堂の入り口で事切れたその後、位牌堂入り口の階段から血が滲み出て、いくら拭いても現れた...
峡南

方外院 瀬戸観音(山梨県身延町)

ほうがいん せとかんのん行基作の如意輪観音を本尊とし、各地を移転した後に慶長年間に現在地に移った仏像の台座に“本栖寺”あったため返還を要求され、文字を消そうとしたところ血が出てきたとされる(血の怪)『日本の伝説10 甲州の伝説』(角川書店)...
能登南

豊財院 般若の鐘(石川県羽咋市)

ぶざいいん はんにゃのかね江戸へ働きに出た夫が浮気をしている噂を聞き、ある夜夫の喉を噛みつく夢を見て、枕元に血痕が残った(夢告:血の怪)不吉を感じた妻が江戸に向かう途中、長野善光寺で、骨箱を持った女と出会う骨箱には夫と同じ名、夢を見た同日に...
金沢

須々幾神社(石川県金沢市)

すすきじんじゃ鈴木三郎重家(源平の武将)の5世・新九郎は鱸を釣り上げたが、鱸が化身して妻となり子を成した(異類婚姻譚)数年後、1匹の鱸(魚類)を残して妻は龍宮に戻り、新九郎はこれを塚に埋めた新九郎は死後同じ塚に葬られたが、そこからすすきが生...
備後

姫谷焼窯跡(広島県福山市)

ひめたにやきかまあと陶工の市右衛門が開いた窯の跡美しい赤色を出すために若い女性の血を搾り取ったとの噂があった(血の怪)『日本の伝説21 広島の伝説』(角川書店)p.95広島県福山市 加茂町百谷姫谷
備北芸北

お仙ヶ淵(広島県北広島町)

おせんがふち女中のお仙は主の若旦那の子を産んだが、夫婦になれないため子と共に淵に入水して大蛇になった(悲恋伝説:変身譚)この淵は下流の澄合にある観音淵と繋がっていて、月に一度訪れると観音淵の水が赤く濁る(血の怪)『日本の伝説21 広島の伝説...