神仏霊験譚

備後

満願寺 宙づり観音(広島県尾道市)

まんがんじ ちゅうづりかんのん仏像の足と蓮華台の間に半紙が通るほどの隙間があるため、この異名を持つ寺が他国へ移転したため仏像もこの地を離れたが(あるいは盗まれた)、いつしか戻ってきた信者の夢に観音が現れ、巡礼(巡礼六部)に背負って貰って戻る...
安芸

長善寺(広島県竹原市)

ちょうぜんじ本尊(仏像)は、かつて伊予国の八幡宮の御神体だったが、海賊に盗まれ、嵐に遭って海に捨てられた毎夜怪光を発するので、地元の者が網で拾い上げて家に祀った夢で仏像を長善寺に持っていくよう告げられ、持参すると、住職も同じ夢を見ていた(夢...
安芸

六字岩(広島県坂町)

ろくじいわ春と秋の大潮の2回だけ姿を見せる岩礁大阪の石山本願寺へ毛利方が米を輸送した(戦国の戦い)帰りに嵐に遭い、いただいた名号を海に投げて鎮めたこの地に来て岩礁に舵(船装備)が引っ掛かったので確かめると、舵に名号が掛かっていたのでこの名が...
海部知多

長昌院(愛知県飛島村)

ちょうしょういん飛島新田(干拓地)を開拓した佐野周平は、自宅を寺にするため仏像を求めて桑名へ赴いた気に入った仏像があったが、持ち合わせがないため帰ろうとすると「買って帰れ」との声が聞こえた(声の怪)店で仏像の値段を尋ねると、持ち合わせちょう...
上越

原山地蔵(新潟県糸魚川市)

はらやまじぞう金を盗んだ盗人が地蔵の後ろに隠そうとしたら、地蔵が声を掛けたので逃げてしまい、無事持ち主の元に戻った(喋る物)雲助が女性を襲おうとしたら、地蔵が制止する声が聞こえて、女性は助かった(神仏霊験譚)『日本の伝説41 越後の伝説』(...
豊前国東

鷹栖観音(大分県宇佐市)

たかすかんのん観音に帰依した長者(炭焼き長者)が、尊像を刻もうと楠の木を用意したが果たせなかった今戸盛時という武人が、怪光を発するあやかしの噂を聞き、矢を射て退治した(化け物退治)怪光の正体は長者が残した楠であり、今戸は観音の霊験(神仏霊験...
庄内

有耶無耶の関跡(山形県遊佐町)

うやむやのせきあと鳥海山に手長足長という鬼が棲み、暴虐の限りを尽くしていた大物忌神は霊鳥を遣わし、鬼が山にいる時は「無や」里に来る時は「有や」と鳴かせた(神仏霊験譚)この故事から、国境の関所に「有耶無耶」の名を当てたとされる(地名の由来)『...
東信

六道の地蔵(長野県小諸市)

ろくどうのじぞう雪の降る中、年末の買い物へ行く途中で、爺が地蔵のために笠と蓑(雨具)を買って着せてやったその夜、老夫婦の家に6人の旅の者が来て一夜の宿とした翌朝、旅人はいなくなり、囲炉裏の中に大量の黄金があるのが見つかった(笠地蔵:神仏霊験...
洛中

六波羅蜜寺 鬘掛け地蔵(京都市東山区)

ろくはらみつじ かつらかけじぞう六波羅蜜寺に安置される地蔵母親の葬儀を出せずに困っていると、一人の僧が丁重に葬ってくれた母親の遺髪を布施としたが、その後寺に詣でると、仏像の左手に遺髪が握られていた(神仏霊験譚)『日本の伝説1 京都の伝説』(...